川越無線 プリアンプ(430MHz/スタンダードタイプ)

レビュー

(作成中・暫定公開)

川越無線が販売している430MHz用のスタンダードタイプのプリアンプ。FMで100W、SSBで250Wまで。EMEでもしない限りは十分な耐電力。価格は¥28,000。川越無線の公式サイトから通販で購入できる。

地上波DXやEMEに必須製品

本製品はアンテナ直下に設置することを想定している。周波数が高い430MHz帯では、アンテナから無線機までの同軸ケーブルやコネクタによる損失が大きくなりがち。

本製品をアンテナ直下に設置することで、受信した微弱な電波が同軸ケーブルで減衰する前に増幅することができる。本製品のNFは0.2dBと非常に低い値となっているので、ノイズを増幅することなく目的の信号を増幅できる。

製品外観

注文時にコネクタはMかNを選択可能だ。

M型コネクタはインピーダンスが50Ωに整合されていないため、特に高い周波数では減衰の原因になる。430MHzではM型コネクタが採用された製品も多いが、せっかく微弱な信号を増幅するプリアンプなのだから、できる限り減衰の少ないN型コネクタを選択するのが良いだろう。

マストへの固定金具も搭載されており、そのままアンテナ直下に設置可能だが、プリアンプが動作するかどうか、アンテナ直下に設置前に事前に机上で確認することをお勧めする。

アンテナ直下に設置してから動作しなかった場合は大変な手間になる。

電源供給とスタンバイ

プリアンプの電源は同軸ケーブルから供給するか、上記写真の4Pinのコネクタから供給する方法を選択できる。同軸ケーブルからの電源供給は、無線機側の対応が必要なので要確認。たとえば、ICOMの最新オールモード機であるIC-9700は同軸ケーブルからのプリアンプ給電に対応している。

プリアンプは送信時にOFFにしないと壊れてしまうのでなんらかしらの対処が必要になる。同軸ケーブルから電源を供給する方法であれば、送信時に無線機からプリアンプへの電源供給が遮断されるため、自動的にプリアンプがOFF(スタンバイ)となるが、4Pinコネクタから電源を供給する場合は、送信時にプリアンプをOFF(スタンバイ)するための信号を接続する必要がある。

スタンバイ信号はマイクのPTTや無線機の背面等から、送信時にGND(0V)に落ちる信号を接続するだけで動作する。

プリアンプのテスト

プリアンプは受信が出来るか出来ないか、限界ギリギリでのシチュエーションで最も効果を発揮する。

FT8であればプリアンプのOFF/ONで5〜6dBの改善が見られた。
WSJT-Xのデコード限界、-21dB位信号であれば、プリアンプをOFFにすることで受信できなくなるので、受信環境の改善効果あると考えて問題ない。

FMでノイズギリギリの信号、送信しているのはわかるのだが内容が復調できないようなシーンにおいてもプリアンプをONにすることで内容が復調できるようになる。

逆に言えば、受信に支障がない信号、Sが5以上振っており了解度が問題ない場合には特に効果がない。

全体的なノイズも増幅されるため、なにも受信していない状態でもSが5〜9程度振れる状態になる。SSBであってもFMでスケルチを開放したような騒がしい受信ノイズになるので、耳には優しくない。

送信に対して受信感度が過剰になる場合も

プリアンプONで復調できている相手を50Wで呼んだとしても、相手局はこちらの信号が復調できないため応答が無いようなパターンを何度か経験した。受信感度が良くなりすぎるからか、受信感度に対して送信能力が足りていないように感じてしまうこともしばしば。

これについては、ライセンス上430MHz帯では地上波だと50Wが制限のため出力を上げるわけにもいかず、とくに対処方法がない。

結論

受信環境の改善としてプリアンプは効果があると考えて間違いない。

ただし、プリアンプはノイズすれすれの信号を復調するのには効果があるが、全く受信できていない信号まで復調できるわけではない。アンテナやアンテナ設置場所の改善をおこなったうえで、最後にプリアンプを導入するのが順番として正しいと考える。

定格

周波数430 MHz
送信最大耐入力(FM)100 W
送信最大耐入力(SSB)250 W
利得30〜32 dB
NF0.2 dB
電源電圧13.8V
電源電流250 mA以下

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